はじめまして、ケアマネジャーの角屋と申します。よろしくお願いいたします。
今日は『自己覚知』という言葉についてお話したいと思います。
医療や福祉の分野、特に相談援助職に携わっているとほぼ必ず『自己覚知』という言葉を学ぶことになります。
『自己覚知』とは、英語でself-awareness と書き、日本語では自己認識・自己理解と訳すこともあるようです。
相談援助職(援助者)は支援過程で、相談者の怒りや悲しみといった感情やその人ごとの価値観に触れることになります。
しかし、援助者はそれに飲み込まれてはいけません。相談者の感情や価値観に共感しつつも、相談者が何に困っているのかを冷静に把握・整理して解決へ向かう道筋を立てなければいけないのです。
そのためには援助者自身が、自分の感情の動きや物の考え方を知っていなければなりません。知ることで自分をコントロールでき、冷静に相手に向き合えるのです。
これは相談援助職だけでなく、介護職にも同様に必要なことです。仕事で接する利用者様に対してプライベートで振舞うのと同様に接してはいけません。
介護職は一人の専門職(プロ)として自分を統制し、病気に対する知識や介護手技といった経験知を統合して仕事に臨んでいるのです。
さて、ここまで小難しい話をしましたが、『自己覚知』は皆さんが日々の人生を生きていく上でも活用できます。
例えば、会話の中で相手の言葉に怒りを覚えたとします。では、なぜその言葉に怒ったのでしょうか。
例えば、ある映画の登場人物に共感して涙を流したとします。なぜその人物に共感したのでしょうか。
そこには普段意識していない本当の自分がいます。自分の感情や価値観がどこからくるのか。
その理由を知ることで、誰かに対し、そして自分に対して少し優しくなれるかもしれません。そんな『自己覚知』のお話でした。